名古屋高等裁判所 昭和49年(ネ)9号 判決 1974年10月28日
三重県多気郡明和町大字大淀乙七三七番地
控訴人
合資会社明造商店
右代表者代表社員
橋爪真次
東京都千代田区霞ヶ関一丁目一番一号
被控訴人
国
右代表者法務大臣
中村梅吉
右指定代理人
服部勝彦
同
北島昭三
同
鈴木孝
同
内藤久寛
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
控訴会社代表者は、「原判決を取消す。被控訴人は控訴人に対し、金一〇〇万円およびこれに対する昭和四七年六月六日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。
被控訴人は控訴人に対し、名古屋国税局協議団津支部が、昭和二七年三月一七日控訴人に回答した件につき、右協議団が腐敗品を昭和二三年度に発生したものでないと確認できたとする合理的な理由、根拠を明記し、そうであるのに右協議団が腐敗品を昭和二三年度末棚卸品と認める旨不正な回答を控訴人にした事情を詳記して、更に右不正な回答によつて控訴人に多大の迷惑をおよぼしたことに対し、謝罪の意を表わす文書を交付せよ。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決ならびに右金員支払い部分につき仮執行の宣言を求め、被控訴代理人は主文と同旨の判決を求めた。
当事者双方の事実上の主張ならびに証拠関係は、つぎに付加するほかは、原判決事実摘示のとおりであるから、これをここに引用する。
証拠関係
控訴会社代表者は甲第一二号証を提出し、当審における控訴人代表者本人尋問の結果を採用し、乙第一号証の成立を認めると述べ、被控訴代理人は乙第一号証を提出し、当審における控訴人代表者本人尋問の結果を採用し、甲第一二号証の成立を認めると述べた。
理由
当裁判所もまた、原審と同じく、控訴人の本訴請求は理由がなく棄却すべきものと判断する。その理由は、原判決理由中次のとおり附加訂正するほか、その説示するところと同一であるから、これをここに引用する。
附加訂正個所
一、原判決九枚目裏一行目から三行目までを、「そうだとすると、控訴人代表者本人尋問の結果により、控訴人が前記回答書の意味を、腐敗品は係争年度においてはその価値如何にかかわらず棚卸品として残存しているので、棚卸品として処理すべきものと認める趣旨と解したことが認められるとしても、前記回答書は控訴人の右理解するような趣旨において回答したものでないことが明らかであるから、控訴人の主張は採用できない。」と附加訂正する。
二、原判決一〇枚目表二行目「右事実に徹し、」以下同五行目「当否は別としても、」までを削り、そのあとに、「右事実に徴すれば、西井協議官がした本件回答書は、」を挿入する。
よつて、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法九五条、八九条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 柏木賢吉 裁判官 菅本宣太郎 裁判長裁判官岡本元夫は転任につき署名捺印することができない。裁判官 柏木賢吉)